吉岡さんの弁護士日記

なにわ総合法律事務所の弁護士 吉岡 康博がつづる弁護士日記

元通りに戻っても元に戻らない!?

今取り組んでいる裁判の対象になっている金融商品で興味深いものがあります。

この商品は,「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN」といいます。ザックリ言いますと,
この商品は「原油」に連動します。
単純に連動するのではなく,「原油の騰落率の2倍」に連動します。

どういうことかと言いますと,当初の原油価格を100,この商品の価格も100として

①原油が10値上がりして110になると,
(110-100)×2=20,100+20=120

で,原油が1割値上がりするとこの商品は2割の利益(120)が出ます。
逆に,

②原油が10値下がりして90になると

(90-100)×2=-200,100-20=80

で,原油が1割値下がりすると,この商品は2割の損失(80)になります。

ここまではいいですよね。

私の依頼者は,「万一原油が値下がりすると,2倍の損失を被ることになるが,いつかは原油が値を戻すだろう。回復局面では2倍の利益が出るので,原油が元の価格まで戻ればこの商品も元に戻るだろう。長期的に見るとリスクはない。」と考えて,この金融商品を買いました。
少し前の私も同じことを考えたと思います。

依頼者がこの商品を購入後,原油は大きく値を下げてしまったため,気長に原油の値上がりを待つことにしました。
予想どおり,原油の価格は回復してきました。

スクリーンショット 2018-09-25 09.33.52.png

(Investing.comのウェブサイトより)

まさにV字回復。

ところが,依頼者が購入した金融商品は回復しませんでした。

スクリーンショット 2019-02-15 18.14.37.png

(「ETNなら野村のNEXT NOTES」ウェブサイトより)

なんで!?
私の依頼者も「なんで値上がりしないの?」と疑問に思って,私の事務所に来られたのです。

調べてみたところ,複利効果が影響しているとのこと。

先ほどの例で,原油が1割値下がりした後に,1割値上がりしたと考えると,

100-100×0.1=90,90+90×0.1=99

で,原油は99まで回復するのに対し,この金融商品は,

100-100×0.1×2=80,80+80×0.1×2=96

となり,99まで回復しません。

下落したものにレバレッジが掛かっていると,その後上昇した分にレバレッジを掛けても同じ分だけ戻らないのですね。
私も未だに分かったような分かっていないような状態です(汗)。

先ほどの「ETNなら野村のNEXT NOTES」ウェブサイトにも,

一般に、「日経・東商取原油指数」の値動きが上昇・下降を繰り返した場合に、マイナスの方向に差(ずれ)が生じる可能性が高くなります。また、一般に、期間が長くなれば長くなるほど、その差(ずれ)が大きくなる傾向があります。

という注意書きがあります。
ただ,依頼者がこの商品を購入した時点ではこのような注意書きはなかったそうです。

どうもこの商品は長期的に保有すると損失を被るような特性がありそうです。

今回の裁判では,この点の説明義務が尽くされていないとして勧誘を行った証券会社に対して損害賠償請求を行っています。

被告の証券会社は「複利効果は常識で考えれば分かる」というような主張をしているのですが,これは考えても分からないのではないかと思います。

皆さんはいかがでしょうか。

投稿者 吉岡康博 | 2019年2月15日 17:58 | コメント(0) | トラックバック(0)

秋田弁護士殺害国賠訴訟で逆転勝訴

2010年11月4日未明,私の大先輩の弁護士である津谷裕貴先生が自宅で暴漢に襲われ殺害されるという痛ましく悲しい事件がありました。
この事件は,不審者が拳銃と剪定ばさみを持って津谷先生宅に侵入し,これに気付いた津谷先生の奥さまによる110番通報で駆けつけた警官2名が津谷先生を犯人と思い込んで押さえ込み,津谷先生を安全に避難させることをしないまま犯人が剪定ばさみで津谷先生の左胸を刺したというものです。

駆けつけた警官は警棒や耐刃防護衣を着用せず,どちらが津谷先生でどちらが侵入者かを津谷先生にも奥さまにも確認せず津谷先生を押さえつけた点や津谷先生夫婦を安全に避難させなかった点が問題であるとして,遺族が秋田県等に対して損害賠償請求訴訟を提起していました。

第1審である秋田地方裁判所は,駆けつけた警官に過失はないとして原告の秋田県に対する請求を棄却しました。
判決は「秋田県では凶悪事件の発生が少なく、突発的な事案に対応できるだけの訓練や意識の涵養(かんよう)が十分でなく対応できなかったと考えるのが相当」などと述べていましたが,これでは地方都市の警官が市民を守る義務が軽くなってしまいます。

これに対して控訴審では,警棒や耐刃防護衣を着用しないまま現場に臨み,誰が不審者かを確認しないまま津谷先生を取り押さえた点や,犯人が一旦応接室に行き剪定ばさみを取りに行った間に津谷先生夫婦をパトカー等に避難させることができた点などを指摘して,駆けつけた2名の警官の過失を認定しました。

控訴審で逆転勝訴できたことで私も安堵しましたが,犯人が応接室に行った間に津谷先生を避難させることができたはずだと思うと,今でも悔しくてたまりません。

投稿者 吉岡康博 | 2019年2月14日 11:44 | コメント(0) | トラックバック(0)

隠岐の島ウルトラマラソンを完走しました

今年も走って来ました!
隠岐の島ウルトラマラソン。

島根県の北,日本海に浮かぶ離島,隠岐の島。
毎年6月,島を1周して100キロを走る隠岐の島ウルトラマラソンが開催されます。

マラソン大会は朝5時にスタートしますので,土曜日に隠岐の島に行き前泊する必要があります。
翌朝は3時に起きて,無理矢理朝食を詰め込みます。
離島の旅館のご飯は海の幸がタップリなんですが,味わっている余裕全くなし(笑)。

午前5時の号砲と共にレースはスタートします。

FB_IMG_1529380812465.jpg

この頃はランナー達も元気です。
なぜかタイガーマスクが(笑)。
私も右端の方に写っています。

マラソン中の写真はないのですが,とにかく100キロは長いです。
しかも隠岐の島は坂ばっかり。
80キロぐらいから私のGPSウォッチの電池がなくなり始めると同時に私の体力も限界に近づいていきます。
90キロ過ぎからはあまり記憶がありません(笑)。

しかし,いつかはゴールがやって来ます。
そのときの栄光,充実感のためにマラソンをやっています。

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RUNNETさんから頂いた写真です。

記録は9時間2分。

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ウルトラマラソンはそこそこ得意で,9時間切りと8位以内入賞を狙っていたのですが,両方とも達成できませんでした。
残念!!

しかし,頑張った後にはご褒美が待っていました。
最強の市民ランナー川内優輝選手との入浴シーン(笑)。

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川内選手は毎年隠岐の島ウルトラマラソンの50キロの部を走っていて,2時間50分前後というとんでもないタイムでゴールしています。
100キロの部を走るランナーは,9時間20分前後でゴールすれば川内選手と貴重な写真を取ることができます。

今年も色んな思い出が詰まった隠岐の島マラソン旅行でした。
来年も必ず参加します!

投稿者 吉岡康博 | 2018年6月20日 18:34 | コメント(0) | トラックバック(0)

ジャパンライフ問題 その6

今後,東京地方裁判所が選任した破産管財人から被害者の方々に宛てて,文書が届く予定とのことです。

破産手続では,破産管財人が破産会社の財産を管理してお金に変え,それを平等に配当することになります。
現在は,破産管財人がジャパンライフの資産を把握する作業が続いているのだと思います。

どれくらいのお金が被害者の手元に戻ってくるのか,現時点では全く不明です。

大阪弁護団では,これとは別に日本訪問販売協会の「訪問販売消費者救済基金制度」を利用して,より高額の被害回復をできないかを検討しているところです。
詳細が分かりましたら,このブログでお知らせします。

投稿者 吉岡康博 | 2018年4月20日 18:00 | コメント(0) | トラックバック(0)

2018ソウル国際マラソン

今年もソウル国際マラソンを走って来ました。

2010年に初めて参加してから今年で9回目。
韓流好きの私が何となくマラソンに興味を持って走ってみたのがソウル国際マラソン。
こんなに長く走り続けるとは思いもしませんでした。

2010ソウル国際マラソン,ゴール直前の私(若っ!)。
DSC_0342.JPG

その後,時は流れて韓国人のランナー友達がたくさんでき,2017年には韓国内のペースメーカーのボランティア組織「光化門マラソンクラブ」にも加入しました。この間,ホントに色んな思い出がありました!

2018ソウル国際マラソン,スタート前の私。
うんうん,それなりに年を取ったがいい感じだぞ(笑)。
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今年は光化門マラソンクラブで3時間以内(サブスリー)のペースメーカーをやらせて頂きました。
ペースメーカーというのは,マラソン中継に出てくるのと全く同じアレです。
決められたペース走り続け,周りのランナーの目標になって目標時間達成に導くのが任務です。
自分のための走りではなく,周囲のランナーに配慮した走りが求められます。

黄色の風船を付けて,ランナーを引っ張りました!
FB_IMG_1521460227969.jpg

ゴール直前の私です。
BandPhoto_2018_03_19_09_43_22.jpg

体力的のみならず精神的にもハードなマラソンでしたが,ゴール後の充実感は10倍でした!

記録は2時間58分。
ゴール後には記念のポカリスエットをゲット(ピンボケ残念)。
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ところで,今回の大会でまた一ついい経験をすることができました。

スタート直後からずっと僕の横を走っているランナーが1人いたのですが,序盤で「Thank you!」と声を掛けられたので,英語で話しをしてみたところ,香港から来たランナーとのこと。
「韓国の大会で日本人と香港人が一緒に走るなんて,文字通り国際マラソンだよな~。」なんて言いながら,僕も彼のことをずっと気にしていました。

僕が周りのランナーを気にして給水ができないと,この香港人ランナーは,後ろから「ヘイ,ヤスヒロ!」と声を掛けてドリンクの入った紙コップをくれたり,バナナや体を冷やすためのスポンジを取ってくれたり。
国境を越えて助け合う心にホントに涙が出ました。

香港人の彼は無事にサブスリーを達成し,ゴール後に記念撮影をしました!
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という訳で,今年も本当に素晴らしい経験をさせてくれたソウル国際マラソンでした。

ありがとう,ソウル国際マラソン!
来年も必ず来るからね~。

投稿者 吉岡康博 | 2018年3月23日 17:11 | コメント(0) | トラックバック(0)

全国証券問題研究会金沢大会に参加しました

平成30年3月2日,3日と金沢市で第57回全国証券問題研究会が開催されました。

今回のテーマは,昨年司法研修所が発表した司法研究報告書「デリバティブ(金融派生商品)の仕組み及び関係訴訟の諸問題」という論文についての検討です。

デリバティブ(金融派生商品)。。。
私がこの言葉を初めて聞いたのは,1998年の司法修習の時のこと。
当時,とある弁護士の先生が「君らはデリバティブのことを勉強しているか。」と言われて,私を含む司法修習生の誰もがポカーンとしていたのを記憶しています。

あれから20年近くが経過し,デリバティブは様々な問題も引き起こしました。
裁判も多数提起されました。
私もそれなりにデリバティブを研究しましたが,未だによく分からない部分がたくさんあります。

今回の研究会では,デリバティブの仕組みや法的問題点に詳しい学者の先生を2人お招きして,講演して頂くとともに,パネルディスカッションが行われました。

まずは早稲田大学の渡辺宏之教授のご講演。
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2日目は同じく早稲田大学の黒沼悦郎教授のご講演。
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最後は,黒沼教授,渡辺教授と大阪証券問題研究会の弁護士がパネルディスカッションを行いました。
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今回の一番の収穫は,デリバティブをよく分かっていないのは私だけではなく,司法研究報告書を執筆した裁判官も実はよく分かっていないのではないかということ。
裁判官も人間ですから,司法研修所が作った資料にも明確に間違った記載があったり,解釈上問題のある記載があったりするのですが,その辺りの具体的なポイントがよく分かりました!

さて番外編。

金沢に金沢カレーというものがあることを初めて知りました。
カレー好きの私は,当然,金曜の昼食は金沢カレー。
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黒っぽいルーとキャベツのみじん切り,とんかつが特徴です。
なかなか美味。

という訳で,研究会が終了した土曜の昼食も金沢駅構内の金沢カレーになりました。
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投稿者 吉岡康博 | 2018年3月 6日 18:14 | コメント(0) | トラックバック(0)

ジャパンライフ問題 その5

3月1日付で東京地方裁判所がジャパンライフに対して破産手続開始決定を下しました。
ジャパンライフの反論を踏まえても同社が破産状態にあるという認定を裁判所がしたことになります。

今後は,破産管財がジャパンライフの財産を確保し,現金化して配当する業務を行います。
同時に,どこまでジャパンライフの商法の実態が解明されるのかが注目されます。

大阪弁護団もいよいよ本格的に始動することになります。
活動内容の詳細は,このブログでご報告します。

投稿者 吉岡康博 | 2018年3月 3日 21:51 | コメント(0) | トラックバック(0)

ジャパンライフ問題 その4

全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会がジャパンライフに対して破産の申立てを行った件で,2月21日に東京地方裁判所で非公開の審尋手続が行われました。

その後,ジャパンライフの山口会長は,マスコミの取材に対して「(事業を)継続する。当たり前でしょう。」「堂々とやっている。商品も良いのだから。」というようなことを述べたそうです。

ただ,現時点でジャパンライフという会社の財産の管理処分権限は,東京地方裁判所が選任した保全管理人の元にあり,山口会長の意向ではどうにもならない状態にあります。
ジャパンライフとしては,東京地方裁判所に対して,「ジャパンライフは倒産状態でない。」「全部の契約者に対して全額の弁済が可能である。」ということを認めさせない限り,近いうちに破産手続開始決定が出ることになります。

今後,ジャパンライフは反論をするようですが,東京地方裁判所がどのような判断をするのかを見守りたいと思います。

投稿者 吉岡康博 | 2018年2月22日 19:14 | コメント(0) | トラックバック(0)

KIX泉州国際マラソンと韓国の友人

2月18日に堺から泉州地区を走り抜けるKIX泉州国際マラソンがありました。

この大会は抽選大会で,3年ぶりに当選!!
しかもこのときは,私が韓国で所属しているランニングクラブ「光化門マラソンクラブ」の友人がこのマラソン大会を走りに大阪に来てくれました。

そのため今回は,光化門マラソンクラブの公式ユニホームで走ることにしました。

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光化門マラソンクラブは,韓国でペースメーカーのボランティアを専門に行うクラブです。
私も韓国ではこのユニホームを着てペースメーカーをしています。
真っ赤なシャツと真っ赤な帽子はKIX泉州国際マラソンでも目立ったみたいです。

スタート前に光化門マラソンクラブの友人と記念撮影。

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紀州口熊野マラソンで脚を痛めてから,2週間全く走っていなかったので,この日は,韓国の友人と写真を撮りながら一緒にゆっくりとファンランをしました。

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こんな写真とか,

LRM_EXPORT_20180219_145500.jpg

こんな写真とか,

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こんな写真とか(これは千里ランランクラブの友人に撮ってもらいました。),

記録は3時間37分だったのですが,あっという間に完走してしまった感じです。

完走後は,友人たちと打ち上げ。
まず一次会は新世界で串カツを食べながらビールを飲みました。
みんな生ビール大ジョッキを4,5杯飲んだのではないかな。

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二次会は,中華料理屋でなぜか韓国焼酎(笑)。
吉岡,飲み過ぎて若干顔がイッてます(笑)。

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写真はありませんが,三次会まで行い,日付が変わってようやくお開きとなりました。

そんなこんなで韓国から来てくれた友人と楽しく過ごした週末でした。

投稿者 吉岡康博 | 2018年2月19日 19:38 | コメント(0) | トラックバック(0)

民泊禁止の管理規約改正はお急ぎ下さい

民泊新法(住宅宿泊事業法)がいよいよ今年(平成30年)の6月15日に施行されます。
これに先立ち,住宅宿泊事業を営もうとする者の届出の受付が3月15日から先行して開始されます。

民泊新法は,近年の外国人観光客増加等に対応して空き家等を活用するために,民泊を合法化するものですが,分譲マンション内での民泊は住民とのトラブルを招く恐れがあり,騒音,衛生,防犯上の問題点なども指摘されています。

分譲マンションを利用した民泊を経営したい場合は,住宅宿泊事業者の届出をすることになりますが,届出に際して管理規約の写しの提出が求められています。
民泊を管理規約で禁止しているマンションについては,届出が受理されない仕組みになっています。

これを逆から見ると,一旦住宅宿泊事業者の届出をした後に管理規約が改正されて民泊が禁止となっても,当然に届出が無効になるわけではありません。

したがって,分譲マンションにおいて民泊を禁止すべきという意見が多い場合は,3月14日までに管理規約の改正手続を行い,民泊を禁止しておく必要があります。
あと1か月程度しかありませんので,まだ対策されていない管理組合はお急ぎ下さい。

投稿者 吉岡康博 | 2018年2月16日 13:11 | コメント(0) | トラックバック(0)

プロフィール

吉岡康博写真

吉岡 康博(よしおか やすひろ)
大阪弁護士会所属

なにわ総合法律事務所
〒541-0053
大阪市中央区本町1-5-6 山甚ビル4階
TEL:06-4705-0325
FAX:06-4705-0328

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